親や上司からお歳暮をいただいたとき、お返しは必要なのか迷うことは少なくありません。相手との関係や地域の習慣によって考え方が違うため、どうするのが正しいのか分かりづらいですよね?
お歳暮には必ず返さなければならないという決まりはありません。状況に合った考え方を知っておくだけで、自然で失礼のない対応ができるようになります。
この記事では、お返しが必要かどうかの判断基準や、贈るタイミング、金額の目安などをまとめました。
どう対応すればよいのか悩んでいる方は、まずここから確認してみてください。
お歳暮のお返しは必要?基本的な考え方
お歳暮は毎年のご挨拶として贈り合うことも多く、「いただいたら何か返さなきゃ…」とつい考えてしまいますよね。しかし、お歳暮は必ず同じように返すことを前提としていません。
本来、お歳暮は 「一年間ありがとうございました」という気持ちを届けるための贈りもの であり、お返しを求めて贈られるものではないんです。
そのため、お歳暮のお返しも厳密には同じ価値のものを返すというより、いただいた気持ちに対して、こちらも感謝を伝えるというニュアンスに近いものです。
ですから、必ずしも物を返さなくてもかまいませんし、丁寧なお礼の言葉だけでも十分に気持ちは伝わります。
大切なのは、形式ではなく 感謝の気持ちがきちんと相手に届くかどうか。まずはその考えを押さえておくと、以降のお返しの判断もしやすくなります。
お返しは必ず必要というわけではない
お歳暮は感謝を伝えるための贈りものなので、必ずお返しをする必要はありません。実際には、「お返しをしないほうが相手にとって負担にならない」ケースも多くあります。
たとえば次のような場合です。
- 相手が毎年のご挨拶として気軽に贈ってくれている場合
- 親族など、深い気遣いを必要としない関係性の場合
- 上司や経営者など、立場が上の人からの贈りもの(※よく働いてくれていることへの感謝の意味が強く、返礼を前提としていない)
こうした場面では、気持ちを受け取ったことが伝われば十分で、丁寧なお礼の言葉だけで失礼にはあたりません。
さらに、年末は誰にとっても忙しく、出費も増えやすい時期です。お互いに負担を増やさないという気遣いも大切なマナーのひとつです。
お歳暮のお返しは、義務として考えるものではなく、相手との関係性に合わせて無理のない形を選べばよいという点を押さえておくと気持ちが楽になりますよ。
お返しをした方が良い場合
お返しが必ず必要ではないとはいえ、あえてお返しをした方がより気持ちが伝わることもあります。
たとえば、明らかに高価なお歳暮をいただいたとき、相手のご厚意に対して、こちらの感謝もささやかに形にしてお返しすると丁寧な印象になります。
また、普段から特にお世話になっている相手には、一年のお礼として、こちらからも小さな贈りものを添えると気持ちが伝わります。
そして、初めてのお歳暮をいただいたときなど、礼節を示したい場面や、今後の関係づくりを丁寧にしていきたい相手の場合です。
ただし、大切なのは負担に感じさせない範囲でという点。気持ちのバランスを整えるイメージで、無理のない品物を選べば十分です。

お返しをしない場合の丁寧な伝え方
お歳暮のお返しは必ずしも必要ではありませんが、それでも「いただきっぱなしで大丈夫?」と不安になりますよね。そんなときに大切なのは、きちんとお礼の気持ちを伝えることです。お返しをしなくても、真心のこもった一言があれば十分に誠意は伝わります。
お礼状・メッセージの基本マナー
お返しをしない場合は、まず 「品物が届いたことへの感謝」 と 「相手を気遣うひと言」 を伝えることがポイントです。
お礼状の形にすると丁寧ですが、相手との関係性によっては電話やメール・SMS等のメッセージでも問題ありません。
基本の流れは次のようなイメージです。
- お歳暮をいただいたことへのお礼
- 贈りものの具体的な感想(食べるのが楽しみです/家族でいただきます 等)
- 相手の近況を気遣うひと言
- 今後のお付き合いをお願いする結びの言葉
たったこれだけで、相手は「きちんと気持ちを受け取ってくれた」と安心してくれます。
相手を不快にさせない文面のポイント
お礼状で注意したいのは、恐縮しすぎないという点です。
つい「お気を遣わせてすみません」「申し訳ないです」と書きたくなりますが、あまりに控えめすぎる表現は、相手に「負担をかけてしまったのかな…」と心配をさせてしまうこともあります。
また、「お返しできるように頑張ります」など、義務感に聞こえる表現も避けた方が無難です。
あくまで自然な言葉で感謝を伝えるのが一番ですよ。
関係性別の書き方のコツ
丁寧なお礼の基本がつかめたら、次に意識したいのが「相手との距離感に合った伝え方」です。
同じお礼でも、親族・友人・ビジネス相手では好まれる文面が少しずつ異なります。
相手に合わせて表現を調整することで、よりあたたかく、気持ちの良いコミュニケーションにつながります。
● 親族の場合
柔らかい表現で、家族の近況に触れるとあたたかな印象になります。
「毎年気にかけてくれてありがとう」「家族みんなでいただきますね」といった一言があるだけで安心してくれます。
● 友人・知人の場合
メッセージやメールでも十分丁寧に伝わります。
堅くしすぎず、相手の気遣いに感謝するシンプルな文面で大丈夫です。
● ビジネスの場合
形式が大切になるため、短くまとめたお礼状が最適です。
「心遣いに感謝しております」「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」といった定型の表現を意識しましょう。
以上のように、お返しをしない場合でも丁寧なお礼を伝えることで十分に気持ちは伝わります。
相手が贈ってよかったと思えるような、気持ちのこもったメッセージを意識すると良いでしょう。

お返しをする場合のタイミング
お歳暮のお返しをする場合、いつ贈るのが失礼にならず、相手にとって負担のないタイミングなのかが気になるところですよね。お返しは必ずしも必要ないとはいえ、状況によっては品物を添えて気持ちを伝えたい時もあります。
そんなときは、無理のない時期に、相手が受け取りやすい形で贈ることを意識すると安心です。

適切な時期
一般的に、お返しを贈るなら 「できれば年内」 にするのが自然です。お歳暮をいただいた流れのまま、「ありがとうございました」という気持ちをすぐに届けられるからです。
ただ、お歳暮を贈られたタイミングが遅めの場合、お返しをしたくても年末は何かと忙しく、予定が詰まってしまうこともありますよね。
そんなときは年が明けてからでも問題ありません。
むしろ、相手によってはお正月の慌ただしさが落ち着いてから届くほうが、ゆっくり受け取れて嬉しい場合もあります。
つまり、年内にこだわりすぎなくても大丈夫! あなたが無理なく準備できる頃合いで贈るのが一番です。
遅れてしまう場合の対処
どうしても時期がずれてしまった場合、今から贈っても大丈夫?と不安になることもありますよね。
でも大丈夫です。そんなときは、まず お礼の気持ちをひと言伝えることが大切です。
たとえば、
- 「遅くなりましたが、今年も気にかけていただきありがとうございました。」
- 「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。心遣いとても嬉しかったです。」
といった形で、気持ちを伝えれば失礼にはなりません。
お返しは義務ではないので、多少時期がずれても、丁寧な言葉があれば十分気持ちは伝わります。
相手に負担を感じさせない贈り方
お返しをするときに気をつけたいのは、相手が気を遣わないようにするという視点を持つことです。
具体的には、次のような工夫があると良いでしょう。
- 高価すぎない、受け取りやすい品物にする
- かさばらない、消耗しやすいものを選ぶ
- 送り状やメッセージに「ささやかですが」「気持ちばかりですが」と添える
また、直接手渡しが難しい場合は配送でも問題ありません。
年末年始は荷物が増える時期なので、購入時に確認し対応可能であれば到着日の指定や受け取りやすい時間帯を気遣うと、より丁寧な印象になります。
喪中の場合はどうする?
お歳暮は「日頃の感謝」を伝える贈りものなので、相手が喪中であっても贈ってはいけない、という決まりはありません。
お祝いの意味を持つ贈り物ではないため、基本的には通常どおりお返しをして問題ありません。
ただし、身近な方を亡くされて間もない時期は、気持ちの整理がつかないことも多く、手続きなどで忙しい時期でもあります。そのため、お返しをするなら時期を少しずらし四十九日が終わってから贈ると、より丁寧な配慮になります。
四十九日後であれば、年内なら通常のお歳暮として、年明けなら季節に合わせた表書きで問題ありません。喪中の相手に対して大切なのは、 相手の状況に負担をかけないかで選ぶことです。
お返しを贈るタイミングは「絶対にこう!」という決まりがあるわけではありません。
相手との関係性や自分のペースに合わせて、無理のないタイミングで、気持ちを添えて贈ることが一番大切です。

お返しに添える「のし」の選び方とマナー
お歳暮のお返しを贈るとき、のしはどうするのかも悩むところですよね。
難しく考えなくても、基本のポイントを押さえておけば大丈夫です。ここでは、お返しに添えるときの表書きの書き方や、贈る時期に合わせた整え方に触れていきます。

表書きは何を書く?
お歳暮のお返しに添えるのし紙には、一般的に紅白蝶結びで 「御礼」 と書きます。
特別な決まりがあるわけではありませんが、改まった贈りものに広く使われる一般的な形式で、お歳暮のお返しにも同じものを使います。
お返しを贈る時期に合わせてもう少し丁寧にしたい場合は後述しますが、迷った際は「御礼」と入れておけば問題ありません。
贈る時期によって変わる表書きの整え方
お返しを贈る時期に合わせて、のしの表書きを少し丁寧に整えたい場合は、贈る時期に合った言葉を使う方法があります。
細かな決まりにとらわれすぎる必要はありませんが、「相手にとって自然に見えるかどうか」を基準にすると安心です。
具体的なタイミングは、年内に贈る場合、年明けから松の内(1月15日頃)まで、松の内から立春(2月の始め)までの3つ。それぞれの表書きは下の表にまとめました。
| タイミング | 表書き |
| 年内 | 御歳暮 |
| 年明けから松の内 | 御年賀・御年始 |
| 松の内から立春 | 寒中御見舞・寒中御伺 |
お返しが遅くなってしまった場合でも、時期に合った表書きにするだけで丁寧な印象に整います。
どの時期であっても、難しく考えすぎなくて大丈夫です。「丁寧に贈りたい」という気持ちが伝わることが何より大切ですし、迷ったときは「御礼」と書いても失礼にはなりません。
喪中の相手の場合、四十九日後であれば、年内なら通常の御歳暮として、年明けなら時期に合わせた表書きで問題ありません。
お返しの金額相場と選び方
お歳暮のお返しを考えるときに気になるポイントのひとつが「いくらくらいのものを選べばいいの?」という金額の基準ですよね。高すぎても気を遣わせてしまいますし、低すぎても失礼になるのでは…と迷うのは自然です。ここでは、一般的な相場と、相手との関係に合わせた金額の考え方をまとめました。
相場の目安は「半返し~同額」程度
お返しの金額を考える際は、いただいた品物の半額程度 がひとつの目安とされています。これを「半返し」と呼びますが、お中元やお歳暮のような季節ギフトでも広く使われる考え方です。
相手に負担を与えず、気持ちを返すという点では分かりやすい基準ですね。
また、いただいた品の 同額程度 をお返しの目安とする場合もあります。
お歳暮の一般的な相場は 3,000円前後です。この価格帯でいただいた品に対して同額のお返しであればも過度な負担になりにくく、丁寧なお付き合いを続けたい相手に対して自然なお礼の気持ちとして受け取ってもらえることが多いです。
とはいえ、金額にこだわりすぎる必要はありません。お返しの目的は品物の価値を合わせることではなく、相手が気持ちよく受け取れる形で感謝を伝えることにあります。
高額なお歳暮をいただいた場合の考え方
お返しの金額相場は半返しが一般的な目安ですが、実際のお返しを考えるときに無理に金額を合わせる必要はありません。
とくに1万円近い品や合計1万を超える複数のセットなど、明らかに高額なお歳暮をいただいた場合、同じ価格帯で返してしまうと、かえって相手に気を遣わせてしまうことがあります。
その場合は一般的なお歳暮の金額である 3,000円前後を目安にすると良いでしょう。相手にとって負担を感じないラインとして捉えやすく、格式を保ちながらも気持ちを伝えられる価格帯です。
また、金額を高くしすぎると、「気を遣わせてしまったかな?」と相手に心理的な負担を与えてしまうことがあります。
とはいえ、金額に正解があるわけではなく、相手に気持ちよく受け取ってもらえるかどうかが一番大切です。
高額なお歳暮をいただいた場合ほど、品物そのものよりも丁寧な一言や気遣いのメッセージが、より自然で温かいお返しになります。
お歳暮のお返しは、金額そのものよりも相手への思いやりが伝わるかどうかが大切です。無理のない範囲で、負担をかけない形を選べば、それだけで十分に気持ちは届きます。

よくある失敗と気をつけるべきこと
お歳暮をいただいたときのお返しは、相手への思いやりが中心ですが、ちょっとした気遣いの違いで「負担に感じさせてしまう」「意図が伝わらない」といったすれ違いが生まれることもあります。ここでは、特に注意しておきたいポイントをまとめました。
高額すぎるお返しで気を遣わせてしまう
つい「いただいたものより良いものを贈らなきゃ…」と思ってしまうことがありますが、これは意外と相手に気を遣わせてしまう原因に。お歳暮のお返しは、あくまで気持ちを伝えるための控えめな贈り物が基本です。
豪華すぎる品物は「申し訳ない…次はどうしよう?」という負担につながってしまうこともあります。
また、会社の経営者や上司から従業員へ贈られるお歳暮は、日頃の感謝を伝える意味合いが特に強いため、受け取った側が気を張る必要はありません。職場のお歳暮の場合は、相手もお返しを期待しているわけではなく、「ありがとう」という気持ちが伝われば十分とされています。
金額相場の目安にこだわるよりも、相手にとって負担にならないかを優先すると、ちょうどよいバランスになります。
お礼が遅れすぎる
お返しをする予定がある場合でも、まずは お礼を早めに伝える ことがとても大切です。
お礼が遅れてしまうと、相手は「ちゃんと届いたかな…?」と心配することがあります。
お返しを贈る贈らないに関わらず、お礼の連絡をするようにしましょう。
「お歳暮、ありがとうございました。とても嬉しかったです。」
このひと言が先にあるだけで、相手の安心感が大きく変わります。
もし年末にバタバタしてしまっても、気持ちを込めたメッセージがあれば十分です。
ビジネスでの対応ミスに注意
ビジネスの場面でお歳暮のお返しや御礼状のやりとりをする場合は、気持ちのやり取りだけでなく形式の丁寧さも大切です。
気をつけたいポイントは、
- 相手ごとに文言や呼称を間違えない
- 会社名・部署名・役職などをきちんと整える
ということはもちろんですが、贈る時期を大きく外さないようにするだけで、信頼感のある印象につながります。
相手の好み・事情への配慮不足
お返しを選ぶとき、つい自分の好みで選んでしまったり、「これでいいだろう」と深く考えずに決めてしまうこともあるかもしれません。
ただ、相手によっては
- 食べ物の好み
- アレルギー
- 家族構成
- 量が多いと困る
- 保管場所がない
など、さまざまな事情があります。
「負担にならないかな?」
「受け取りやすいかな?」
と一度イメージしてみると、相手に配慮した選び方ができるでしょう。
お歳暮のお返しでの失敗は、マナーを知らなかったからというより、相手の気持ちを考える余裕が持てなかったときに起こりがちです。
難しく考えすぎず、ちょっとした気遣いを意識するだけで、相手が心地よく受け取れる形に整います。

まとめ
お歳暮をいただいたときのお返しは、形式よりも 「相手への思いやりが伝わるかどうか」 が一番大切です。必ずしも品物を返す必要はなく、丁寧なお礼のひと言だけでも十分に気持ちは届きます。
もしお返しをする場合でも、無理のないタイミングで、負担にならない金額のものを選べば問題ありません。年末はどうしても慌ただしくなる時期だからこそ、相手が受け取りやすい形を意識すると、気持ちよいやり取りになります。
また、ありがちな失敗の多くは「気持ちを返さなくては」という焦りから生まれがちです。
深く考えすぎず、「相手がどう感じるかな?」という視点をひとつ添えるだけで、自然な対応ができます。
お歳暮のお返しは義務ではありません。あなたらしいペースで、無理のない形で、感謝の気持ちを伝えていきましょう。

コメント